厳密さに拘る癖に用語の無責任な用法を好み、感覚の庭を耕している

笑顔の公園

 気がつくと、微笑みがセイタカアワダチソウのように拡がっていて、公園に咲いていた笑顔がみんな枯れていました。

 しばらくすると、微笑みだけ残された公園から、気味の悪い一人笑いが聞こえるようになりました。耳をすまして聞いてみると、何だか泣いているようにも思えました。

 またしばらくして公園に戻ってみると、笑顔も微笑みも軒並み枯れていました。何も残らなかった公園の前、何もできなかった僕はまた自分が少し嫌いになってしまいました。

 セイタカアワダチソウ色のベンチにしか座れない僕は、そのベンチの上で笑顔のなかを誰かと歩く夢を見て、目が覚めるといつも泣いていたような気がします。けれども頬を伝う涙はもう渇れてしまっていて、本当に泣いているのかも分かりませんでした。涙の流れた跡はあっても、どれだけ泣いたのか誰にも想像できませんでした。

 ベンチを離れて公園から出ると、公園にまた笑顔が戻ってきた——ような気がしました。