厳密さに拘る癖に用語の無責任な用法を好み、感覚の庭を耕している

笑顔の練習をしている人は
さよならの練習もしている

さよならが下手な人は
みんな上手く笑えない

笑顔なんて要らないから
さよならを教えないで
呟いた後で書きかけの手紙を破ってしまった

分かっていても笑顔が好きなんだよ
強張る唇の描く感情が好きなんだよ

あぁ 記憶が大気に溶けて消えていく

愛した街の泥臭い水田の香り
銀杏の絨毯を捲る風の音
改札前の終電を失くした電光掲示板の光

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