ことあるごとに福島に赴こうと考えていたが,思い立ったが吉日,会津若松までひとっ飛び.飛ぶといっても新幹線に乗れるほど裕福じゃないし,最近は音ゲーに真剣なので,費用の収まりそうな「青春18きっぷ」を使いました.地元の久喜から会津若松までかかる時間はなんと5時間!!こんな長旅は初めてでした.
【久喜→宇都宮】区間,【宇都宮→黒磯】区間はこれといって目ぼしい光景を目の当たりにはできませんでした.ただ,黒磯駅の路線切替用通路から見える景色は美しく感じられ,思わずシャッターを切っていた.架線愛好家というのは一定数以上存在していると思われるのだが,彼らが見ているのはおそらく概念としての架線であって,彼らには存在と存在を紐づける役割を果たす者への愛情が備わっているのではないかと思う.空や大地は無条件で繋がっているが,僕らはきっと繋がろうという意思がなければ交わらない.大きな価値を生み出しうる繋がりが,僕は好きだ.けれども愛情と憎悪は表裏一体であるという言葉があるように,架線愛好家が架線を眺めるときのそれには,繋がりを得られなかった自身や,繋がれなかった存在への憤りが見え隠れしているようにも思う.なんて.僕は風景としての架線広がる空間も好きですよ.
【黒磯→新白河】区間,栃木から福島への侵入口.このあたりから,車窓の向こうに見える世界に緑が増えてきた.僕の背より高そうな小麦色の芒があたり一面に揺れている.池に差し込む夕陽は雄大な灼光を照り返している.山のつくる黒い影に沈んでいく住宅群を眺めていると,見えざる手なんて言葉を思い出してしまう.僕なんか,自分のことで精一杯なのに,世界のことを考えられる経済学徒は立派だなあ….
【新白河→郡山】区間,【郡山→会津若松】区間,関東圏在住の人間には列車の扉が開くたびに入り込んでくる,風の冷たさが厳しい.出発から随分と時間が経っていたので,もう日は沈みかけていた.途中,ポップ体で大きく広告された「田んぼアート」の文字を見つけたが,実物を見ることはできなかった.
夜は車内の蛍光灯が窓ガラスを鏡にしてしまうので,磐梯山の写真を撮ろうにも苦戦しました.着ていたコートで自身の頭部を覆い,光を遮断しながら撮った写真がこちらです.輪郭だけでも確認できるだろうか?
今回福島に訪れたのは,去年の12月頃からよくお喋りしていた「溶液さん」というフォロワーさんに会いに行くという目的があったからなのですが,その彼女から途中に存在する猪苗代湖について教えてもらいました.なんと日本の湖の大きさランキングでは4位!これは見逃せないし,大きいなら見逃すわけがない….そんなふうに考えていた時期が僕にもありました.行きは真っ暗で見つけられず,帰りも探したものの,見つけられませんでした.かなしい.不審者の如く車内をうろうろすることおよそ一時間.ようやく目的地,会津若松に到着!!
ここまで来るのに大分充電を消費してしまったから,まずは電源のあるカフェのある場所を探すことから始めました.駅前方徒歩5分ほどにあるコメダ珈琲店で暖を取りながら,今夜止まる場所をサーチっ.現地の人である溶液さんから事前にこのあたりにあるネカフェを紹介してもらっていたので,難なく寝床は確保.嬉しいことに(?)ネカフェの一階にはゲームセンターがありました!一介の音ゲーマーである標識さんも,これには飛びつくしかありません.
音ゲーのことは散々呟いているのでここでは省略.2時間ほど音ゲーを触ると閉店の時間,外に出てみると….
みてみて!ゆきー!!!! pic.twitter.com/DEyUg0KXPO
— 漂識ゆき🚸 (@HydroYourSeason) 2020年3月23日
関東じゃ滅多に見ない雪が降っていました.大はしゃぎしていると,溶液さんから「雪ではしゃいでるの可愛いね」って言われちゃいました.そりゃはしゃぐよ~.こっちじゃ本当に降らないからね.雪が降るだけで,もう良いこと起きたような気持ちになっちゃうね.
ネカフェの小さな自動ドアを抜けると雪国であった.雪を頭に乗せたまま走る自動車がかわいい.そんな姿を見ているだけでにこにこしてしまう.さてさて,駅に戻って待ち合わせ場所の「七日町」まで向かわねばっ.駅までワープっ!!!
溶液さんと落ち合い,七日町の案内をしてもらうことに.蔵造りの建物が少し歩いたところにいくつか見える.元々は城下町だったらしく,レトロな街並みが今でも保存されていた.ご飯処の看板を見ると大抵は「かつ丼,馬刺し,喜多方ラーメン」の文字が見付かる.福島のかつ丼は卵とじのものではなくて,ソースを浸して作るソースかつ丼が主流らしく,気になっていたが….彼女はまだチーズナンを体験していなかったので,チーズナンの喜びを体験してもらおうと,半ば強引にインド料理店に連行してしまいました(ごめんね).
チーズナンの布教 in 福島
— 漂識ゆき🚸 (@HydroYourSeason) 2020年3月24日
ナンの表面に塩気があり、それがまたチーズの甘さと融和していて、とても美味しかったです(,,>ᆺ<,,) pic.twitter.com/XJKg7TP0Wd
ご飯を食べている途中,贈り物を頂きました.女生徒です.三月上旬に読んだときには,微笑みに対して真摯な態度で応対できるようにしよう,なんて気持ちが湧いてきました.生きづらさを抱えながら生活する年ごろの女性たちの,苦悩がこの作品にも見え隠れしています.同時に,男性であるはずの太宰が,ここまで綿密に心理描写をやってのけてしまえることに驚いてしまった.分かったふりなんてされたくなくて,でも,分かってほしい.そんな葛藤は何処へ向かうのだろう.文学はそんな葛藤を受け止めてくれるような気がする.錯覚かもしれないけれど,僕はそんな領域の存在を信じている.
散歩の途中で,福島の郷土品である「起き上がり小法師」をどっちが先に見つけるかゲームが勃発.標識さん全敗.やはり現地住民はやり込みが違うな….(⌒,_ゝ⌒)…もこう先生ではない.
カラオケでは,最初の方は交互に好きな歌を歌っていたけれど,途中からは平成初期ぐらいのアニメ映像付きのものを流して,小さな鑑賞会をやったりした.その場に即したルールや規則が崩壊して,独自の楽しみ方を見出したりするのが好きだから,こんなカラオケは斬新でもあり,とても楽しかった.世代差は多少あったけれども,妹が見ていた朝アニメを僕もたまに目にしていたので,耳に残ったフレーズも多かったように思った.自由な遊びはとっても楽しいね.
駅前で解散して,泊まっていたネカフェへUターン.流石に体力的にしんどかったので,見切りをつけて早めに泊まって寝ることに….しかし寝過ごしてしまい,若干割高な料金プランに自動変更.そんな日もあるね.過ぎちゃったものは仕方ない,せっかくだからソースかつ丼でも食べよう!ということで食べてきました,ソースかつ丼.
口に入れた瞬間,鼻に突き刺さるソースの刺激!明らかに米の量に対してソースの分量を間違えている.しかしこれがよい….シャキシャキのキャベツと一緒に米とソースかつを胃の奥へ流し込む.美味い.メニューに単品のライスがなく困っていたので声をかけてみると,なんとライスのおかわりをサービスしてもらえました.二回戦進出!お腹いっぱいになるまで食べて退店.会津若松に訪れることがあったら,ご賞味あれ.
そんなこんなで,14時過ぎ.ようやく福島を去ることに.最後に福島の名物である酪王カフェオレを買って電車に乗り込みました.
帰りはあっという間でした.途中眠ってしまうこともありましたが,無事に帰宅.あぁ…あの大自然が恋しい,降り注ぐ雪が懐かしい….また機会があったら遊びに行きたいな.じゃあ今回はこんなところで.(=ω=.)